その日は山梨出張。朝7時半の梓3号で新宿からドイツ人をアテンドして山梨の試験所へ行く途中、甲府駅から乗ったタクシーが凍結路面で滑り、約3m下の小川に落っこちてしまった。そのせいで今週はずっと自宅療養。まだ傷めた左肩が痛くて腕があがらんです。
甲府市内は前夜の雪の影響もなく、中央線で来る途中に見た雪景色がウソのよう。当然、タクシーもノーマルタイヤ。甲府駅から約40分、目的地が見え、最後のカーブを曲がるまで、路面には雪やら凍結の気配はゼロだった。
とつぜんタクシーが坂の途中で止まったと思ったら、ずるずると後退。後輪が凍結した氷の上に乗ってしまったらしく全く制御できないまま左側後輪からほぼ垂直の崖をずり落ち、底で車体が1回転、そのままパタンと裏返しになったので最初は何が起きたかわからず、びっくりした。車内真っ暗だったし。
ドアも開かず、窓をくるくる回して開けて自力脱出。駆けつけた会社の人がロープを崖から垂らしてくれたが、左腕が上がらないので無理。ハシゴを持ってきてもらって崖を登ったら、そこは日陰でツルツルの路面。ここで転んだらもっと痛いので、慎重に坂を下りて日が当たっているところで立ち止まった。
待つこと15分。やっと来た救急車の乗り心地は最悪(狭いとこに座らされ山道なので揺れまくり!)。
思い返すに、車は左側の後輪から落ちたので、私が座っていた後部左側が
一番最初に川底へ落ちたらしい。崖をずり落ちて底に達し、どんと衝撃があったとき「痛い」&「重い」と同時に感じた覚えがあるので、身体の左側が押し付けられている状態で、隣のドイツ人が私の上に降って来たようだ。彼は道路側だったので、落ちる寸前にドアを開けて降りようと試みたらしいがドアは開かず間に合わなかったと言っていた。私はまったく何をする余裕もなく、何がどうなったかわからんまま、重力のまま、なすがまま〜。
で、車が後部左側を基点に裏返しになると「重い」状態が解消(ドイツ人は川の方へ移動した)。車が裏返しになったときには支点から一番遠かった運転席の衝撃が一番大きかったと思われる。唯一、シートベルトをしていた運転手さんは席にはさまって宙吊りのまま自力脱出できず、レスキュー隊が来たそうだ。その間、私たちは先に病院へ行っていたので、救出の詳細はわからない。運転手さんは頭部打撲で1日検査入院となった。ベルトをしていなかった私たちは転がったので、頭は打たずに済んだのかも。
結局、診断は頚椎捻挫のほかに左肩の靱帯一部損傷、左顔面・左膝の打撲。ドイツ人は頚椎捻挫だけで済んだけど、服と鞄が川の水に漬かって、PCとPDA、バックアップのUSBメモリすべてが壊れた。私のほうは全く濡れず、物的被害はなし。どっちもどっちだけど、やっぱ物が壊れたほうがマシかな。ダメージあるけど痛くはないもん。
タクシーは屋根と前方大破で廃車だとか…。
事故当日は病院やら、しつこい警察聴取やら(おまけに全部通訳せなあかんし)で、帰宅後どっと疲れが出た。
2日目、「あと50センチ落ちるところがズレてたら大きな岩があって窓ガラス割れたりして大変だっただろう。それぐらいで済んでよかった」という、現場を見たタクシー会社の人の言葉を思い出し、精神的に軽くショックを受け身体もあちこち痛くて寝込む。左顔面もハレてきて頬と顎には擦り傷。まるで「顔を殴られて虐待された妻」のよう(泣。
3日目ようやく手や顔の小さい擦り傷・切り傷がしみなくなったのでシャワーを浴びてすっきり。
4日目以降、初めて自分で着替えができて、日に日にラクになっていくのを感じるが、相変わらず左腕はあがらず、左手に茶碗より重いものは持てないという優雅?な生活。家族に感謝。
受験生を持つ親としては「滑って」かつ「落ちた」わけなので、子供の身代わりだったかなあ、と(かなり強引に)思うことにした(だから受かるってもんでもないけどねぇ)。
車に乗る皆様方、これから師走のあわただしい時期、くれぐれも気をつけてくださいませ!
<おまけ>
崖をずり落ちていくときに何を叫んだか。
○運転手さん「うわぁー」〜普通の反応。
○ドイツ人「Oh!!」系な言葉〜欧米人らしい反応。
○私…「?」〜まったく覚えていなかったので、あとでドイツ人に「私、なんか叫んでました?」と聞いたら、
「ふぉーっとか言ってたよ」ですと。え!?
んなとこでHGやらんでも…。
人間、パニクると何叫ぶか、わからんものである。
ちゃんちゃん。